都内から帰ってきた。

波打ち際の街。

涼しい海からの風が、心地よく頬を撫でる。

まだ夏心地。

いつまで、この流れる汗に、心が揺れていられるのだろう。

秋は通りすぎ、冬になる。

あの頃の秋も、今も、この先も。

まだ鬼が笑うくらい気が早い。

もう少し夏を味わいたい。

今日のしらべは、STUTS「Conflicted」

エアコンの効いた部屋のドアを開ける。

一瞬、夏の潮風を暑いと感じる。

しかし、その後すぐに、秋の涼しげな空気が包み込む。

季節はいつも外にある。

窓を開いて、空気を吸いこむ。

*   *   *

何もかもがうまくいかない時がある。

心の奥底に抱えた傷跡がずっと痛いこともある。

どうすれば、安らぎはくるのだろう。

どうすれば、この傷は癒えるのだろう。

わからないことなんて、人生にいくらでもある。

逆にわかることはなんだろう。

本当にわかっていることなんだろうか。

わかっていたつもりが、何もわかっていなかったことなんていくらでもある。

結局、本当にわかっていることは、何もないのかもしれない。